両親の老後資金への不安を解決相続の相談事例 CASE 01

神奈川県在住の木内美咲さん*の近所に住む80代のご両親・森山さん*ご夫婦は、自宅を担保にリバースモーゲージで生活資金を借り入れていました。それを知り不安に思った美咲さんはご主人の正広さん*に相談しました。ご主人の正広さんはまず、日頃から懇意にしているファイナンシャルプランナーで、ISCA会員の本間康太郎さんに相談しました。

 相談を受けた本間さんは案件の内容を把握し、ISCA同期で不動産の専門家の長澤知子さんに協力を依頼します。本間さん、長澤さん、そして司法書士の中里裕樹さんの3人がチームを組み、美咲さんご夫婦とご両親、そして美咲さんの妹さんらファミリーが一体となって問題解決に取り組んだ結果は、当初の想定を超えてハッピーエンドになりました。

お写真:正広さん(仮名)・美咲さん(仮名)
*依頼者とご家族のお名前は仮名です

対応会員

本間康太郎

KHコンサルティング 代表
ISCA会員。信金職員から保険業界に転職。50歳で独立し、ファイナンシャルプランニング技能士として個人、法人のライフプラン作成を支援。住宅ローンアドバイザーなどの資格も持ち金融面でのアドバイスに強み。

長澤知子

株式会社アステリア 代表取締役
ISCA会員。不動産の実務者として相続等での不動産の扱いに精通。また、終活アドバイザー、シニアライフカウンセラーの資格も持ち、高齢者施設選びや認知症対策などさまざまな問題解決に活躍。

中里裕樹

ゆうき司法書士事務所 代表
司法書士。不動産会社勤務から司法書士に転じる。相続・遺言・家族信託・成年後見などを専門でサポート。相続関係では不動産登記などの数多くの案件を扱っているが、家族信託と遺言は特に注力している。

― ご両親の老後資金が心配になったキッカケは?

美咲様 ある日、両親が2人そろって横浜の銀行に行くと聞いて、なんで?って。心配なのでついて行ったら、なんだか変な話になっていて。両親がリバースモーゲージを使い始めたということは知っていました。私たち姉妹も、一応ネットで調べて内容は知っているつもりでした。家を担保にお金を借りても、住み続けられるならいいと。両親が建てた家ですし、私たち子供は女ばかりで家を出ていますから。ところが銀行で話を聞いてみたら、父が亡くなったら母が住んでいてもすぐ家を出なければならないかもしれないとか、聞いていない話ばかり出てきてびっくりしたんです。慌てて主人に相談しました。

正広様 私も驚きました。何とかしないとまずいとは思いましたが、こういうことは誰に相談すればいいのだろう、と。たまたま、本間さんが私の会社に来ることになっているので、そうだ、まず本間さんに聞いてみようと思ったわけです。

本間 木内さんとは私の前職の信金時代からのお付き合いです。保険のご契約をいただいたあとも定期的に会社に訪問し、ライフプランや諸々のご提案や会社のご相談事を伺っていました。今回の件は持ち帰ってすぐに調べましたが、リバースモーゲージにはいろいろリスクがあり、まさにそのリスクにさらされているとわかりました。そもそも物件の価値の割に評価が低く、さらに借り入れの枠が少ない。試算してみると、生活費の補填でこのまま借り入れが増えれば、数年ももたないことがわかりました。

美咲様 父と母は料理店を経営し、長く自営でやってきました。頑張れば稼げるという感覚が、仕事をやめた後も続いているようで、将来を考えて倹約していこうという考えはあまりないんです。国民年金ですから年金だけでは足りません。このまま借金が増えて、実家がなくなってしまったらどうなるのと心配したんですが、本人たちはそれほど深刻に考えてなかったようです。子供の私たちから言ってもよくわかってもらえないかもと、本間さんから説明してもらうことにしたんです。

― 本間さんが提案した解決策は?

本間 まずリバースモーゲージを解約すること。ご自宅を適正な価格で売却し、返済と老後の資金に充てる。さらに将来の財産管理のしくみを作っておくことでした。家の売却などは不動産の分野です。私も不動産業者は他にも知っていますが、この案件はご両親と木内さんらお子さんのこれからの問題に関りますから、私と同じベクトルでモノを考えてくれる人をと、ISCAで同期の長澤さんに連絡して協力をお願いしました。

長澤 本間さんから電話をいただいて概略を伺って、これは認知症対策や売却後の資金管理を含めた契約のため、法律の専門家が必要だと思い、すぐに司法書士の中里先生に電話して、本間さんと最初から3人で会って検討しました。結論は、いま本間さんが話した通りです。そして3人で木内さん宅に伺うと、ご両親、そして娘さんたち、その旦那さんたちと、ファミリーが全員揃っていました。

本間 とにかく全員で話を聞いて、全員で理解して解決していこうという姿勢でした。みなさん協力的で、実にいいご関係でした。

中里 相続問題などでお宅に伺うと、親子や兄弟で喧嘩が始まるということがよくあります。木内さんのお宅はそういうことは一切なかったですね。

本間 ご両親も私たちの説明をよく聞いていただき、提案を受け入れていただきました。

美咲様 父は頑固で私たちの言うことはなかなか聞かないし、母だってちゃんと理解したのかどうか。でも、お3人のことは両親も妹たちも信頼して、お任せしようということになりました。この後もそうでしたが、何度も同じことを聞いたりしても、みなさん丁寧に説明してくれて、本当にありがたかったです。

― まず物件の売却からスタートしたわけですね。

長澤 ご両親である森山さんのお住まいは5LDKの立派なお宅で、お父様がこだわりをもって建てられたと伺いました。そこでこの家の価値を最大限アピールして、なるべく高値で売りたいと思いました。でも、ちょっと難点がありました。それはモノが多いこと。せっかく広いお家なのに、狭くさえ感じてしまいます。それで断捨離をお願いしました。

美咲様 でも、それがなかなか進まなかった。捨てようとすると母が飛んできて、捨てちゃダメって。父は父で、片付けをしながら「だけど、どうして引越すんだ」なんて言いだすし。「だから、リバースモーゲージが…」って、また説明(笑)

本間 片付けがうまくいくようになるのは、新しい住まいを借りることが決まってからですね。

長澤 買い手が決まらないうちに新しい家を借りるのは、不動産業者として避けたいことなんです。決まるまでお金は入らず、自分の家があるのに家賃を別に払うことになりますから。調べたら、同じエリアで同じような中古物件は売れるまでに1年かかっています。1年間それが続くのは大変ですし、かといって急ごうとすれば売値を下げねばなりません。それに、内見の時に人が住んでいると、買う側も遠慮して家の中をよく見ませんから成約率も下がります。やっぱり引越して荷物を出した方が売りやすいのかなと思うようになっていました。

美咲様 でも80代の夫婦で借家というと、なかなかないんです。最初はUR賃貸をと見に行ったんですが、母が「年寄りばかりで嫌だ」って。自分だって年寄りじゃん(笑)と思うのですがやはりいまの家の近く、地元にいたいということなんです。いろいろあたっていたら、娘の私が保証人なら貸すというマンションがありました。そこのオーナーさんは両親がお店を経営している時のお客様だったんです。森山さんの奥さんには昔お世話になったから、貸してあげるって。

長澤 それからですよね。お孫さんたちも動員しての断捨離。どんどん進みました。

本間 次の場所のスペースもわかるし、引越しが決まって吹っ切れたのかも。

中里 最初に伺ってお話しした時は、説明を全部聞いて「わかった」と仰ったけれど、「本当はここにずっと住んでいたいんだ」と私には言ってました。ですから、これで本当に決意できたんでしょうね。

長澤 そして引越し。私はいよいよ大変、何が何でも売らなければって思って。ところが引越し当日に奇跡が起きたんです。いつもLINEで連絡を取り合っている美咲さんから電話で「長澤さん大変です」って。引越しで何か起きたのかと思いました。

美咲様 母が引越し当日に、ご近所に挨拶に回ったんです。お店もしていましたし、親しい人がたくさんいましたから。そしていつも買い物しているパン屋さんに行ったら、パン屋さんがあの家を売るなら買いたいって。それを聞いて、慌てて長澤さんに電話しました。

長澤 それで私も大急ぎでパン屋さんにお会いしに行きました。ドイツで修行してこの地でパン屋さんを始めたご夫婦で、開店当初から森山さんご夫妻に大変にお世話になったと。土地勘のないところで商売を始めたが、お母様があそこのパンは美味しいってあちこちで宣伝してくれたと大変感謝していらして。今の自宅兼店舗は古くて手狭だから、近所に良い物件がないか探していたところだったそうです。こちらが提示した最初の値付けで判断されたようなので、私から物件のマイナス点もお伝えし、値引きの交渉もしましょうかとお話ししたら、森山さんに対しては一切不要、あえてこのまま満額で買いたいとのこと。お母様によほど感謝されていたんですね。引越し先のこと、売却先のこと、みんなご両親様が起点でした。お母様、本当にいい仕事をされました(笑)

美咲様 ほんと。奇跡のようなことばかり。

長澤 お人柄が縁を引き寄せたんですよ。今までのご近所づきあいなどの伏線がちゃんとあって、そしてタイミングが合ってうまれた奇跡ですよ。

本間 これで100歳まで生活費の心配がないというプランがたてられました。中里先生にはリバースモーゲージの解約のほか、その後の財産管理委任契約もお願いしました。

中里 娘さんを任意後見人とする契約書も作りました。ご本人に判断能力がなくなってしまってからでは後見契約はできませんからね。

本間 私の仕事は、これから年2回の定期訪問でプラン通り資産管理されているかの確認をすることになっています。

正広様 今回のことで老後や相続、会社をやっているから事業承継といったこともちゃんとしておかなければと思ったけど、自分のこととなるとなかなかね。でも、本間さんがいるから何かあれば頼めばいい(笑)

本間 これからもお手伝いさせていただきます。

正広様 最初に本間さんにお話をしたのが6月の終わり頃で、3人に来て説明していただいたのが7月のあたま。そして9月には売れたんだから、やっぱり奇跡だ。

美咲様 私「奇跡の1年」って言ってたけど、たった3カ月だったのよね。でも、いろんなことがあった。

長澤 思い出すと、まだまだたくさんエピソードがありますよね。

美咲様 そう。とにかく私たち家族の「忘れられない夏」(笑)。本間さん、長澤さん、中里先生のおかげ。両親も、私たち姉妹もとても感謝しています。

今回のポイント

  • 約3カ月間で依頼者と5回の面談。LINEや電話での連絡
  • 現状と今後の資金状況の試算と資産・不動産価値の調査
  • 自宅の希望価格による売却でリバースモーゲージの精算解約と預金確保
  • 老後生活費の貯えを従前の状況から10数年分(100歳まで)延長させる
  • 今後の生活の再設計と財産管理委任契約、任意後見(移行型)の設定

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